やましたあつこ/Atsuko Yamashita

やましたあつこは、自身の内に物語を創り、そこに存在する, ”青い天使と赤い髪をした少女、星、植物、空、草原。” それらをキャンバスの中に切り取ることにより、独自の表現としています。

個展を含む国内での数々の展示、海外のアートフェア出展等、精力的に活動を重ね、近年ますます目が離せない若手作家の一人です。

”「私の絵画が成長するたびに、たくさんのストーリーも彼女たちも成長をする。 そしてそれは絵画の成長でもあります。 息をするように絵を描いていく。 それはなんと心地よいことなのでしょうか。」やましたあつこ”

「二人だけの夜」/2019
2,273×1,818mm
キャンバスに油彩

・アーティストインタビュー

・作家略歴

やましたあつこ

やましたあつこは1993年、愛知県出身。2018年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業。幼少期の体験に基づいて創生したパラレルな世界を油彩、日本画材を使いながらドローイング的な柔らかい筆致で絵画に起こし、一貫して「邪魔のない幸せ」を描いている。第35回ホルベインスカラシップ奨学生。主な個展に「王国のベール」(GINZA SIX 銀座蔦屋アートウォール, 東京, 2022)、「once upon a time」(NADiff A/P/A/A/R/T, 東京, 2021)、「Utopia」(TAKU SOMETANI GALLERY, 東京, 2020)「HER」(TAKU SOMETANI GALLERY, 東京, 2019)、「once upon a time」(NADiff A/P/A/A/R/T, 東京, 2021)などがあり、主なグループ展には「式畫廊開幕首展」(SAN GALLERY, 台湾, 2022)、「”Ampersand”旧图像世的挽歌」 (東京画廊+BTAP|北京, 中国, 2022)、「TAION: when we talk about our world」(Spiral Garden, 東京, 2021)など多数。主な受賞歴に「シェル美術賞2018 藪前知⼦審査員賞」、「第4回CAF賞⼊選」があり、また作品は愛知県美術館にパブリックコレクションとして収蔵されている。

・作家ステートメント

私の中には赤い髪をした少女と青い髪の天使がいる。

何も見えない、周りは関係ない、

好きならそれでいい、一緒にいたらいい。なんでダメ?

人を好きになる事で出てくる熱量は大きくて、素直で、

何でもできると錯覚するくらいパワーがあります。

惹かれあい、愛し合う二人を見ながら、

物語をキャンバスの中に切り取りました。

邪魔のない幸せな世界は願望に近いかもしれません。

二人がずっと幸せであることを願って。

寝る前に、

自分が今感じていること、思ったこと、見たもの、

母が運転する車の助手席に座っている時に、

ベランダでぼーっとしている時に、

私は空想をしていた。

その日感じたこと、今思っていること、私が女だということ。

たくさんのインプットをアウトプットとして空想という形で昇華していた幼少期

たくさんのキャラクターが出てきたり、一人だけだったり、

短い話、長い話、ストーリーはたくさん頭の中で作られました。

それは今も続いています。

私の分身とも言える物語、話の中で生きる人々、見える風景、それらを絵に起こしています。

ドローイングのように、軽やかに、息を吸うように、絵を描いていく。

私の作品制作は、支持体を作るところから始まります。

物語を作り上げていくように、木材を組み立て地塗りキャンバスを作り、

作品(になる前の状態だけど)と会話をするように、油絵の具と鉛筆で描いていきます。

全部ぜんぶ、息を吸うように、私と作品はぴったりとくっついていたいのです。


・作品について

「邪魔のない幸せを描きたい」とやましたは言います。活動初期より一貫して、彼女は自分の内生的な物語をドローイングの手法を交えてペインティングによって描き、私たちが生活の中で直面する感情の複雑な動きについて探究し続けてきました。

絵画をあくまでもオブジェクトとして捉えるやましたにとって絵画とは単なる二次元的なイメージの話ではなく、質量と存在の話が伴います。グレージングによるストロークの軽さ、下地を厚く塗り重ねることで生まれる鉱物のようなテクスチャーを生み出すことで絵画の体つきを強調し、そのオブジェクトとしての質量を鑑賞者に空間的に感じさせます。

彼女の作品にひとの感情や営みを見るとき、それは空想のかたちをとり、私たちが知っているそれとは違う世界、人や空気、温度や言葉、土や草木、太陽の光や表情の動きを持ちます。何かしらの啓発性や説諭を持つわけではなく、むしろ恋をする人たちの健気さ、哀しさ、愛おしさ、私たちが持つ情緒の素朴さや美しさを語りますが、そのパーソナルで語り部的な立場だからこそ、彼女の寓話は感性を解き放つ自由を保ちます。

今回はこれまでのやましたの絵画とは異なり、全体が赤みを帯び、画面を覆うように植物が描かれた作品群が展示されますが、それは彼女の物語の新しい局面を示すと同時に、現実の彼女自身の時間が進んでいることを表します。自分自身の空想を根幹とする特性上、やましたの作品は彼女自身の変化と呼応するように刻々と変わり、それはあたかも私たちが昨日に戻ることが出来ないように不可逆的です。そして、それだからこそやましたあつこの絵画は生きるように有機的であり、その鑑賞は常に瑞々しいリアリティを帯びるのかもしれません。

1993年愛知県出身、現在は東京を拠点に活動。2018年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。主な個展に「HER」(TAKU SOMETANI GALLERY, 東京, 2019)、「君の名前で僕を呼んで」(群馬県立近代美術館, 群馬, 2019)等、受賞歴にシェル美術賞2018 藪前智子審査員賞、第4回CAF賞入選等。作品は愛知県美術館にパブリックコレクションとして収蔵されています。

テキスト:奥岡新蔵


・受賞歴

群馬青年ビエンナーレ2019 入選

シェル美術賞2018 藪前知子審査員賞

ワンダーシード 2018 入選

第4回 CAF 賞 入選

群馬青年ビエンナーレ 2017 奨励賞

ターナーアワード 2016 優秀賞

ターナーアワード 2015 入選

第7回ビジュアルアート大賞 柳沼 信行賞

・主な展示

2020

個展「Utopia」/TAKU SOMETANI GALLERY

2019

個展「HER」/ TAKU SOMETANI GALLERY

個展「君の名前で僕を呼んで」/ MAKII MASARU FINE ARTS

群馬青年ビエンナーレ2019 / 群馬県立近代美術館

2018

シェル美術賞 新国立美術館

  個展「In the flower garden」

   チャリティーオークション「3.11チャリティーオークション@3331 ART FAIR 2018」

  ワンダーシード 2018 トーキョーアーツアンドスペース本郷

2017

第4回 CAF 賞 代官山ヒルサイドフォーラム

   芸大アーツイン丸の内 新丸ビル

   TRANS ARTS TOKYO

  個展「I cried, because I love you.」 新宿眼科画廊

   群馬青年ビエンナーレ 2017 群馬県立近代美術館

   ターナーアワード 2016 ターナーギャラリー

  無二無二 3331 アーツ千代田

2016

ターナーアワード 2015

2015

TETSUSON 3331 アーツ千代田

・収蔵作品

「二人だけの夜」/ 愛知県美術館

「ままごと」/ 愛知県美術館


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