やましたあつこと三瓶玲奈「絵画」

やましたあつこと三瓶玲奈「絵画」

会期:12月20日(金)~12月29日(日)
トークイベント:12月21日(土)17:00~18:00
オープニングレセプション:12月21日(土)18:00~19:00
会場:TAKU SOMETANI GALLERY
休廊日:月曜日
開廊時間:13:00~19:00

〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-4-1 Bakurocactus 4F


展覧会概要
・この度、TAKU SOMETANI GALLERYでは、Yutaka Kikutake Gallery様のご協力により、やましたあつこと三瓶玲奈の合作展を開催いたします。
やましたあつこは、経験や体験により自身の内に物語を作り、そこに登場する人物や情景を絵画へと描き起こします。
三瓶玲奈は、日常の中で捉えた光景からその印象の元を辿り、繰り返し考察することで絵画における光の表現を追求しています。
今回展示する作品は、絵画へのアプローチが異なる二人による合作で、とても興味深い展示になることと思います。 是非この機会にご高覧下さい。


三瓶玲奈 Statement


絵画の表面を境界として、こちら側と向こう側がある。
こちら側と向こう側は同じ厚さを持ち、絵画の表面は常にその中間を捉える。
こちら側の光は、向こう側の光を物質として照らす。
向こう側の光は、こちら側の光の姿を写し取ったものではない。
別質のものだからこそ、境界が生まれる。境界があるからこそ、互いがあることをも確かめられる。
向こうにある光は、光の存在そのものを眩しく照らしている。
2018.5.20 Reina Mikame



Introduction
三瓶が彼女特有の短くも幅のある筆致によってキャンバス上に描くものは、主に、なんでもない風景やモノである。鉱石、ソファ、椅子、モビール、夕日のある風景。これら描かれたモチーフは元来の文脈を洗い流され、「どこかで見たことがある」と鑑賞者に思わせる抽象性を付与されている。しかし、一旦親密性を感じさせた絵画は、画面に近づくと、色彩と筆致の組み合わせ
であることを主張し始める。と同時に、抽象的なモノや風景は、不思議なことに、具体性を帯びるのではなく、知らないどこかの誰かの記憶を覗いている感覚を鑑賞者にもたらす。それは、描いたモチーフに関する具体的な場所性が作家にとって切り離されていないことに由来する。というのも、描いたものはなにかと尋ねると「どこどこの椅子」「どこどこの鉱石」とすぐに答え
が返ってくるのである。抽象的に描かれたモチーフとその元来の場所性の混交。彼女が描いているものは、光それ自体でもなく、モノそれ自体でもなく、モチーフにまつわる彼女の記憶でもない。そうではなく、知覚し、記憶し、思い起こすという行為における具体と抽象の広がりある間を、筆の痕跡だとすぐに分かるブラッシュストロークによって画面に落とし込んでいるのだ。彼女の絵画が持つ広がりは、「作品を見た」という経験ではなく、鑑賞者が自身の記憶や知覚と対話する時間を与える。三瓶の作品の面白さは、作品自体の主張ではなく、鑑賞者を受け止めるそのしなやかさにある。

内海潤也(うつみじゅんや)
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻キュレーション専攻修了後、現在、NPO法人黄金町エリアマネジメントセンターキュレーター

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