内田麗奈「クロマニヨンの夢」
2022年8月20日(土)-9月11日(日)
Open 13:00-19:00
月曜火曜休廊
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-10-1サンデシカビル1階
この度、TAKU SOMETANI GALLERY では、内田麗奈の個展「クロマニヨンの夢」を開催します。
これまで内田は、自分達をクロマニヨン人に擬えた鉛筆漫画「はじまりはクロマニヨン」を執筆しながら、洞窟壁画を思わせるベロア生地をカーテンのように作ることで、何もない壁の奥に「窓」という「夢」を生み出す絵画作品を制作してきました。
誰もが過去の思い出、未来のビジョン、感覚が作り出すイメージを当たり前に残すことが可能となった現代に対し、それが浮かんでいたとしても殆どが脳内から消失していたクロマニヨン人達。今回の展示では、開けたカーテンの絵画作品と窓のフレームに入れた鉛筆漫画「はじまりはクロマニヨン」に、ランプや椅子をを組み合わせたインスタレーションを展開します。「現代と6万年前をタイムスリップしつつ、クロマニヨンの夢を感じて下さい」
「クロマニヨンの夢」
私はある時期、光の入らない真っ暗な部屋で過ごしていたことがあります。外に出たくても出る外が無いと気づいた時、そこで何をすれば良いか考え始めました。その時から「クロマニヨンの夢」は始まっていたのかもしれません。
太陽と月と星が出ていない夜は本当に真っ暗だったと思うのです。当時のクロマニヨン人達 は、そんな光のない時代にどのような”夢”を見ていたのでしょうか。クロマニヨン人達も言葉 はなくても頭に浮かぶ「何か」はあったはずです。それは今の私たちで言う「イメージ」と呼ばれるものですが、彼らにはそれを残せる手段はなく、ただ脳内に浮かんでは消えていく儚いものだったでしょう。
閉じているカーテンを洞窟壁画に見立て、「見えない窓=見えない景色=見えない絵」を想像することで「夢」が生れると、今も信じております。ですが、果たして閉じている状態のみ が本当の人間にとっての「夢」に繋がるのだろうかと疑問に思い始めました。
目を閉じてイメージすることと、目を開けて現実を見ること。私は両方大切なことだと思います。世界と繋ぐために必要な要素のひとつだからです。私にとってカーテンは瞼のようなものかもしれません。
目を閉じている時は、頭に浮かぶ見えない世界(イメージ)を想像することができます。
目を開けた時は、目に見えるモノが視界に広がります。
カーテンを閉じている時、カーテンの向こうに見えない窓を想像できます。
カーテンを開けた時、窓から外の景色が見えて光が差し込みます。
もし、目を開けた=カーテンを開けた世界に、「窓」と「絵」と一緒に照明器具や家具が あったらどうでしょう。ランプも椅子も、「クロマニヨンの夢」だったと思うのです。洞窟 のカーテンを開けた先には、どんな絵でも「窓」として、その時の見たい ”景色” を見ることができるのです。
窓は外と内を繋げる架け橋です。「閉じているカーテン」と「開いているカーテン」のどちらも『クロマニヨンの夢』だと、いま強く感じています。
真っ暗な洞窟のカーテンを開けた時、窓の向こうには ”無限の景色” が広がるでしょう。生き生きとしたクロマニヨン人のレイナ達や、仲間、ランプ、椅子…現代と6万年前をタイムスリップしつつ、クロマニヨンの夢を感じてもらえたら嬉しいです。(内田麗奈)
略歴
内田麗奈(うちだれいな) Reina UCHIDA
1993 愛知県生まれ
2017 名古屋芸術大学美術学部美術学科洋画2コース卒業
2019 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻(油画第一研究室)修了
2022 東京藝術大学油画科助手。茨城県にアトリエを構えて制作活動中
主な展示
2022 クロマニヨンの夢 開催予定 (TAKU SOMETANI GALLERY、東京)
2021 クロマニヨンの夢(HIGURE 17-15 cas、東京)
2020クロマニヨンの夢 (西武渋谷店オルタナティブスペース、東京)個展
2022 ON PAPER (TAKU SOMETANI GALLERY、東京)
2018 SHIBUYA STILE vol.13 (西武渋谷画廊、東京)
主な受賞歴
2017 名古屋藝術大学卒業制作展 優秀賞、理事長賞(名古屋芸術大学、愛知)