・作家略歴
王之玉
1999 中国黒龍江省生まれ
2014 黒龍江省大慶市第二十三高校 入学
2016 黒龍江省大慶市第二十三高校 中退
2017 来日
2018 東京藝術大学絵画科油画専攻 入学
2019
「東京インディペンテント2019」出展 (東京藝術大学陳列館)
「 EAST ASIAN WAVES」出展 (アトリエムラギャラリー)
「ATOM ART AWARD」賞 受賞
令和元年度東京藝術大学油画専攻2年有志進級制作展示”/” (東京藝術大学絵画棟)
バイオスフィアおもちゃ 創立
2020
「 ATOM ART AWARD2019」出展
(コートヤードギャラリー)
安宅賞 受賞
「久美賞・安宅賞・上野芸友賞合同展2020」(東京藝術大学絵画棟)
「 Artsummit2020」 出展(コートヤードギャラリー)
堀聖史+王之玉 2人展「天使愛」 (四谷未確認スタジオ)
東京藝術大学油画専攻3年生展覧会「Remix」(3331アーツ千代田)
2021
上野藝友賞 受賞
個展 「大いなる作業」(TAKU SOMETANI GALLERY)
・ステートメント
私は錬金術師かもしれない。
あるとき錬金術について調べながらそう思った。
私は、錬金術師たちの信念や理想が、
私の思考そのものであることに驚いた。
そのあと、錬金術の本をたくさん集めて、夢中に読んでいた。
現代においては相反するものと考えられている科学技術と神秘思想だが、錬金術はその両者の緊密で不可分な関係性から生まれた。
一説では、錬金術師は自然の観察、実験を通して、物質そのものの本質を追求すると同時に、精神の本質を追求した。そして精神世界を、物質の変化に象徴させた。たとえば、「金属の純化の過程は、救済、自己浄化を意味している」とか、「地上の変化、万物の流転は、錬金術の過程であり、神は大いなる錬金術師である」とか。
錬金術師の目標は、相反する性質の調和である。硫黄/水銀、魂/精気、太陽/月、雄/雌、支配/幸福、物質/精神、人工物/自然、愛/闘争、科学/哲学、など。対立する二者を物質的で有限な状態から解放し、対立を終結させ、再び結合し調和させる、それが「大いなる業」と呼ばれる大目標である。
このように錬金術は、万物の繋がりを考え、探し、作り、使う。「一つは全て、全ては一つ(一即一切)」と考える。これは現代において失われた世界観である。錬金術には「心霊化学」「物理神秘主義」などの別名があり、それはまさに、現代においては残酷に切断されている二者の融合体である。
錬金術の輝かしい歳月は3世紀前に閉じられたが、その高貴な技芸(noble art)は今もなお多くの面で息づいている。現代世界の錬金術に対する理解は、本当の理解よりも表面的なものが多い。しかし錬金術の満足できる確実な結論を得ることは難しい。錬金術の原始的な文献には、意図的な機密、風変わりな言葉、難解な概念、そして奇抜な画像にあふれている。錬金術師たちは、自分が何をしているのかを簡単に他人に知られたくない。
私は錬金術に対して正しいと思う標準的な答えはできないかもしれないが、私はこの「大いなる作業」を永遠に尊敬し、憧れ、そして古代の錬金術師たちの理想、目標、行動、世界の見方に共感する。我々は手元の物質で実験に勤しんでいるが、その本当に求めているものは魂に関係している。私は自分の「実験室」の中で没頭し、その完璧な答えを探している。
参考文献:
ガイ・オグルヴィ 「錬金術 秘密の知の実験室」(藤岡啓介訳),
ローレンス・M・プリンチーぺ「鍊金術的秘密」(张卜天訳)
2021年王之玉個展「大いなる作業」より
アーティストWEBサイト