西村涼/Ryo Nishimura

「生と死」や「生命の循環」をテーマに直接銅版を引っ掻くドライポイントという技法を用いて制作を続けている。

それらのテーマから発展した「永続性」や「流動性」といった、常に形が変わり続けるものの一瞬の脆い形を、自身の制作において捉える事を試みている。

Moment 1/2018
370×508mm
ドライポイント、紙にインク

・アーティストステートメント

私達は普段風景や現象を見る時、時間軸に沿って流れている動きを切り取って認識する。

もしくは流れの全体像をイメージして捉えている。これらの過程は今では当たり前のように写真や映像というメディアで説明され、表現の対象ともされている。

しかしカメラのシャッターを押し、時間軸の流れから瞬間を切り取った図像と人が実際に肉眼で見て認識したイメージは全く違うものであると考えられる。私は流動性のあるものに興味を持っており、目の前で常に形が変化し続けるものを自身の肉眼で捉え、それを銅版画のドライポイントという技法を用いて直接版に彫り刻んでいる。

今回の展示のモチーフは水にインクを垂らしたものであり、ビンの中に無数に広がりやがて水に溶け込んでいくインクの塊を自身が彫り興していく線の軌跡によって埋めつくし、自身のイメージとして再構築する。またその試みを介してものの形が変わり続けることと、生命が絶えず循環する仕組みに共通点を見出だそうとしている。

またMomentには力学において物体の回転力(モーメント力)という意味がある。人が肉眼で見る対象をイメージとして固定するまでの肉体的な現象や、その人の過去の体験によってイメージに加えられる精神的な操作を「瞬間的図像」にねじれを加える多数の小さな力の集積とも考えられる。

個展「Moment」TAKU SOMETANI GALLERY より


西村涼

1993  京都生まれ

2016  京都精華大学 芸術学部 メディア造形学科 版画コース 卒業

2018  京都市立芸術大学 大学院美術研究科 修士課程 絵画専攻 版画 修了


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