Yuma Yoshimura Solo Exhibition「reflection in a squall」
会期:2018 年10 月16 日(火)- 11 月16 日(金)
時間:13:00 – 19:00
休廊: 月曜日※10 月21 日(日)は休廊
レセプション:2018 年10 月20 日(土)18:00 – 20:00
〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-4-1 Bakurocactus 4F
この度、TAKU SOMETANI GALLERY では、10 月16 日(火)から11 月16 日(金)までYuma Yoshimura 個展「reflection in a squall」を開催いたします。
Yuma Yoshimura。薄いアルミニウムの板を木枠に貼り、その表面を繊細な線描で削り、モノトーンで彩色する事で丹念に自身を刻み込むように描き出した作品を一貫して制作しております。
美術大学では版画を専攻し、主にアルミ板を版に用いていましたが、「描いて削る」という行為から、完成された版そのものの方が力強く物質的にカッコイイという独自の直感に従いアルミ板自体をタブローとしています。
今回の個展では、作家にとって新たな試みになる、事実から成り立つフィクションを描いており、本展はその新しいシリーズ最初の個展となります。過去また現在の記憶。その言語化と描画の往き来によって創られた作品は、観る者にも自身の物語の誘因となるかもしれません。
アルミニウムは磨く事により可視光から赤外線や紫外線を含む電磁波、熱線まで様々な放射エネルギーの反射率が非常に高い特性を持っています。Yoshimura が直感的にアルミ板を選んだのも偶然では無いのかもしれません。
本展-reflection in a squall-は、Yuma Yoshimura の内面世界が精緻に反映された展示になっております。是非この機会にご高覧ください。
<作家ステートメント>
Yuma Yoshimura 「reflection in a squall」
本展で発表する「reflection in a squall」は、無数のチャプターで組み立てていく“the inscape portrait-本質肖像”という新たなシリーズのプロローグである。それは“生への執着”という自身の主とするテーマから直結し、日常を生きる自分の痕跡を反映させた物語でもある。
このシリーズは、自らの事実に基づいた過去のエピソードや、現在の私的内容を切り貼りし融合させ、その情景をもとに物語を構築し言語化する。そして、それらと画面への描画を行き来しながら作品を作り上げていく。つまり各チャプター毎、物語を完成させると同時に、描く行為にも区切りを付ける事が出来るのだ。
それは自分にとって自己暗示の様なものであり、意識的に主題に挑むための術でもある。
こうした一連のプロセスにより、プロローグ「reflection in a squall」がフィクションとして姿をあらわすのだ。
-reflection in a squall-
14 年前の亜熱帯のバリ島。あたり一面が急に暗くなり、今にも雨が降り出しそうな、八月の午後のウブド。
何処に逃げるわけでもなく、近くの軒下がある石造りの階段で、ワクワクしながらそのスコールを密かに待っていた。
やがて降り出した青くさい匂いのするその雨と雨音が、今でも忘れられない。
雨は自由だ。
時として私達を悲観させ、時として胸の高鳴りのまま躍らせる。
そんな喧噪にも似た雨音の中、混在する二面性に揺さぶられながら“彼”は行ってしまったんだ。
心底にだけある“彼”が何かを探しに。
行ってしまったんだ、青臭い亜熱帯のかなたへ。
その後、帰国した私は抜け殻になり、異国に残した“彼”は長い間消息をたった。
そして時を経た近頃、私は“彼”を探している。
生々しく内面に宿り続けていた、自分の分身であったその“彼”を。
記憶や経験を共にした、自身の本質肖像であるその“彼”を。
逆走する様に過去の自分へと、順を追いながら問いかけ続け、ようやくあぶり出したその肖像。
“彼”は未だに何かを探しながら流浪しているのだろうか。
私は“彼”を探している。
青くさい亜熱帯から移り行く景色のかなたで。
私は“彼”を探している。
再び降り出したスコールの中を踊る様に。
雨音の中思い起こした“彼”への足取り。
そんな喧噪の中にある途絶えない“彼”の痕跡は一筋の光だ。
-Yuma Yoshimura
Yuma Yoshimura
1980 年東京生まれ。多摩美術大学絵画学科版画専攻卒業。
主な個展に「In-to-You」(A Word of Art、南アフリカ・ケープタウン、2011 年)、「The Burning Silence」(Montana
Gallery、スペイン・バルセロナ、2013 年)、「beyond the shapes」(Calm&Punk Gallery、東京、2017 年)がある。また、
2018 年3月には個展「まぎれこんでしまえば-magirekondeshimaeba」(QUIET NOISE、東京)、アーカイブ展「逆走
-gyakusou」(Basement GINZA)を二か所同時開催。黒や白を基調とした色彩で丹念に描き出される平面作品は、我々
の日常生活における不確かさや混沌といった感覚を反映している。